SONY α 連写速度とバッファ 或いは、内部機構の類推

SONY αについてざっくり連写速度、連写バッファについて調べたものがこちらの表である。赤字が同列内最高値、青字が同列内最低値である。それにしてもbloggerで表組は鬼門である。



すこし解説したい。尚以下の内容はおおむね筆者の妄想なので気を付けてほしい。
 Eマウント初期のNEX-7ではかなりバッファは少なめになっている。あのサイズに当時のテクノロジで大容量バッファも積み込むのは難しかったのだろう。撮影速度は随一である。
 α7初代の世代はJpegのみかつスタンダード画質でかつ低速連写の際に200枚の連続撮影枚数がある。この数字だけみればα7Ⅲ等と同様だ。しかしこれにはカラクリがあり、高速連写だとバッファの少なさから100枚を越えることはない程度の撮影枚数で切れる。つまり、低速時はSDカードへの書き込みとバッファのストックが緩やかに負ける関係にあるので200枚までいけるが速度が上がると書きこみが間に合わず、バッファ不足に陥る。このような仕様をGen.1とする。
 α7Ⅱ世代の中でα7Ⅱとα7SⅡはGen.1相当のバッファ挙動である。しかし、α7RⅡ、及びα6000以降のAPS-C機はバッファが増量され一度必ずバッファに溜め込むような挙動になり、どんな画質でも撮影枚数に一定の上限がかかるようになった。一見デメリットのように見えるが、実際によく使うJpegファイン以上、ないしはフルスピード連写でも枚数が大きく変わらなくなった。これをGen.2とする。
 α6500/α99Ⅱから"新型フロントエンドLSI"と呼ばれるLSIが搭載されることになった。これ以降をGen.3とする。従来型LSIと比べ、恐らくだが内部接続バスの刷新(PCI-ExpressないしはSER/DES系シリアルバス化)とUHS-II等の高速I/Fへの対応準備、バッファメモリの高速安定化と大容量化等が行われている。(実際にUHS-IIになったのはα9以降だが…) 設計の基本的考え方はGen.2と変わっていないと思われるが、全体的なブラッシュアップと近代化改修でベーシックモデルでも性能向上を享受できている。
 ところでα9とα7RⅢは上記理論に当てはまらない。バッファがある大きさで固定であるとした場合、Jpeg画質により撮影枚数が変動するというのは理にかなっている。しかしこの2機種だけはJpeg画質に寄らず一定の撮影枚数を保持している。これは仮説でしか無いが、バッファの空き容量を撮影モードごとに一定のサイズで分割してその区画にデータを書くようなアルゴリズムになっているのではないだろうか。この方式にはいちいちバッファの空きを再計算やリチェックしなくとも固定枚数が撮影できることになるため、高速化に有利であると考えられる。デメリットはバッファ使用効率の低下で、それはバッファサイズで緩和できる。このような作りを暫定的にGen.3+とする。
 Gen.3と3+の違いはバッファメモリの構造体が高速仕様かそうでないかだ。まだ、物理的バッファメモリを削減したい場合はGen.3の方がユーザーの利益は大きい。この仕様の選択は販売力的性能か、実性能かで話が変わってくると考えられる。
 上記とは別に、一見異様に見えるのがα700である。これは、エクストラファインを除くJpegで"メモリカードの上限まで連続保存"できる。恐らく、メモリカードが遅い場合はそこで律速される。書き込めずバッファに溜まったものを吐き出すまでバッファサイズに制限される。これを読み解くと、恐らくJpegファイン/スタンダードはSoCないしはLSIでハード処理でき直接メモリカードに書き込めるのだと思う。エクストラファインは何故出来ないのか不明だが、処理にメモリやSoCのパワーを要するのでバッファにて処理、そこが律速要員になるのではないか。この説を考えるにJpegエンコーダーはクリエイティブスタイルやDROの処理をするDSPから直接RAWを受け取りJpegを生成し書き込むモードと、丁寧にJpeg化するモードの二つ以上が存在するのだと思う。異質と思われるこの仕様だが理由もわかる。それは、この世代のBIONZはWikipedia等を参照する限りミノルタから継承したCypressのリネーム品である。つまり足回りも基本構成は同じと考えられる。恐らく、ミノルタ時代の構成がそのようなことを主眼に置いた構成だったのだろう。

 こうやって見てみるとα7RⅢとα9の位置づけや、α6500やα99Ⅱの健闘が見えてくると思う。速度を重視する場合は上記の表と、あとはご予算によってカメラを選ぶとよいのではないだろうか。筆者的にはα77Ⅱも十分まだいけると思っている。

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